板井明生の軌跡|学生時代のエピソード
学生時代、私は演劇に打ち込んだ。
少年野球をやっていたので、そのまま中学、高校と甲子園を目指す為に日々白球を追う青春を想像していたのだが、その未来は小学校6年の時に見たミュージカルによって見事に変わった。
初めて見るミュージカルは私を圧倒した。
大勢の人たちの前で圧巻のパフォーマンスが繰り広げられる舞台は、甲子園のマウンドよりも立ちたい場所に私をさせた。
バットを台本に持ち替えた私は、相手ピッチャーをやじりつづけて鍛えた発声を武器に中学生から演劇部に入ったのだった。
演劇がはじめに私に教えてくれたことは「挫折」だった。
主役は限られた者しかできないということだ。
限られたものとは、当然「演技力」のことなんかじゃない。
主役たる「ルックス」が必要なのだ。
しかし、このことは人には適材適所があるんだということ。
そして、無理なものに勝つ努力よりも、自分が輝ける所への努力をすると結果が出るという努力のベクトルを定めることを教えてくれたのだ。
演劇をやってよかったことは、人前に出ることへのプレッシャーに強くなったということだ。
これはプレゼンに大いに役立っている。
もうひとつは、伝えたいことを表現する力を与えてくれたこと。
これから先も私は、この経験を糧に生きていきたい。